ニュージーランドの相続手続き・プロベート

ニュージーランドのように、英国法の流れを受け継ぐ国々では、相続に伴う不動産や保有ファンドの名義変更手続き、銀行口座の解約や資金の移転などの手続きを行うため、あらかじめプロベート(Probate)と呼ばれる手続きが必要となります。この手続きは、基本的に相続人が日本にいる状態で行うことが可能ですが、ニュージーランドにある財産の相続手続きはニュージーランドの法律に則り行われるため、現地の事務弁護士に手続きを委任することになります。 また、日本側で相続人の様々な書類を収集、作成、翻訳し、ときには公証人の認証やアポスティーユの付与を要するなど手続きは非常に煩雑で、さらにこれらすべてを英語で処理しなければならないためかかる負担は相当なものです。 弊所では、現地弁護士事務所との連携、英語でのコミュニケーション、英文書類の作成、各種文書の翻訳等、広範に渡るサポートをご提供しております。

プロベートとは?

日本の場合、相続が開始したと同時に(被相続人が死亡した時点で)、被相続人の財産が相続人全員の共有となり、相続人間の合意、遺言書の内容などに基づき相続人全員の共同作業により相続財産の分配が為されるというのが通常です(包括承継)。 一方で、イギリスをはじめとして英国法の流れを受け継ぐ国々では、Probateという手続きを経て最終的に相続人へ財産が分配されることになります。具体的には、遺言書で指定されている遺言執行人(Executor)が、相続財産を調査しそこから債務等を清算した 後に相続人へ分配します。遺言書が無い場合、執行人が指定されていない場合などは、裁判所から選任された遺産管理人(Administrator)がこれを行います。この一連の相続手続きを総称しプロベート(Probate)と呼ばれており、プロベートの手続きは裁判所の監督の下に行われ、また執行人または管理人は裁判所への報告義務も負います。

亡くなった日本人配偶者や親族がニュージーランドに財産を遺していた場合

日本でも近年オフショアファンドが盛んであり、手数料の安さや利回りの良さという魅力から、海外のヘッジファンドその他金融商品を購入される方が多くいらっしゃいます。 亡くなった方がニュージーランドにファンドの口座をお持ちの場合、その口座の解約や名義変更にはプロベートの手続きを要することになります。 また、仕事でニュージーランドに赴任中に開設した現地銀行口座を、帰任後も引き続き保持しているといったことも珍しくはありません。ニュージーランドに遺した財産が銀行口座のみで、その他不動産や金融資産が無ければ、プロベートの中では比較的シンプルな事案になると推定されます。 通常海外の金融機関に口座がある場合、日本にお住まいであっても毎月のレポートやステートメント、年1〜2回程度の税金に関する書類などが書面で送られてきます。ご家族の方が亡くなってから数ヶ月経ち、こういった金融機関からの書面による通知などで海外の相続財産の存在が発覚することも珍しくありません。 この様な場合、まずは弊所に当該文書の内容をお知らせください。内容を拝見し、プロベート完了までのモデルプランをご提案差し上げます。

プロベートの一般的な流れ

i)裁判所へ申立て、遺言執行人(Executor)の承認、または遺産管理人(Administrator)の選任を受ける
ii)遺言執行人または遺産管理人が財産目録等の作成、負債があれば清算を行う
iii)相続財産を分配を行う
iv)裁判所への報告をおこなう

プロベートのお手続きは、通常現地の弁護士等を遺言執行人または遺産管理人に任命し行いますので、基本的に相続人が日本にいる状態で行うことが可能ですが、すべてのお手続きを外国語(英語)で行う必要があり、また日本側で用意する書類すべてを翻訳しなければなりません。 そのほか、各種公文書・私文書を公証人役場で認証を受けアポスティーユを付与するなど、日本側で相続人が費やす時間と労力はなかなかのものです。

なぜプロベートが大変なのか

プロベートの手続きは、現地の法律に従い行われます。国により多少異なりますが、時間と労力を要します。一般的には1年~1年半、長いものでは3年かかったという事例もあります。 手続き開始にあたり、まずは遺言執行人の選任または遺産管理人の承認を受ける必要があります。 現地弁護士(Solicitor)を利用する場合、多くの弁護士事務所はKYCドキュメントを求めます。具体的には、パスポート、推薦状、その他依頼人(相続人)の身分、資力、信用力などを担保するための様々な書類です。 裁判所へ提出する書類は、日本、ニュージーランドそれぞれで用意するものがあります。中には、駐日ニュージーランド大使館での認証を要するもの、公証人の認証を受ける必要があるもの、行政書士その他日本で一定の職業に就く者の署名が必要な書類などがあります。

ニュージーランド人配偶者や親族が亡くなった場合の相続手続きとプロベート

亡くなった方の国籍に関わらず、日本に遺された財産は基本的に日本の法律に従い相続されます。 亡くなった方がニュージーランド本国に財産を有する場合、ニュージーランドの法律に従い、プロベートの手続きを経て財産が分配されます。 海外と日本で相続に関する法律の規定が異なることはもちろんですが、法定相続人の定義にも違いがあったりするので注意が必要です。 ニュージーランド側の財産の相続手続きにあたり、まずは相続人の確定、不動産、金融資産、その他相続財産の調査を行うことになります。 これらの複雑な作業、手続きのために都度ニュージーランドに渡航するというのは現実的ではありませんので、プロベートを進めるにあたり現地の代理人(Solicitor)のサポートを受けることになります。 裁判所への手続きのほか、相続財産の名義変更、解約手続き、場合によっては不動産の売却するということも想定されますので、そのような場合はニュージーランドに住む他の推定相続人などがいればその方の協力も仰ぐことになります。 また、相続税、資産の移転や不動産の売買関する規定や税制も異なりますので、現地会計士の支援も要することになります。 日本側で用意する書類の中に、遺産分割協議書など、日本での相続に使用された一部書類をそのまま使用できる場合がございますので、あらかじめ用意をしておくと後々便利です。

サービス一覧
サービス サポート内容 料金
(消費税別)
Probate事務サポート ニュージーランドの弁護士事務所との連携・コレポン、メール文及び各種書類の翻訳、日本側の必要書類作成、作成支援、アポスティーユ認証等、日本側で必要となる事務作業全般を代行・サポートいたします。 300,000円~
(事案による)
部分サポート 一部または全部の書類の作成のみ、翻訳のみ、弁護士事務所からのメールの解読のみなど、必要に応じ部分的にサポートをご依頼いただくことも可能です。 応相談
  • 上記料金は標準的な事案を想定した場合の目安です。お手続きの内容により費用が異なります。
  • 別途消費税が発生いたします。
  • 上記は弊所サポート費用のみです。現地弁護士費用、日本での公証人認証などの諸費用は含まれません。
  • 弊所は、特定の弁護士事務所を斡旋、紹介するものではありません。現地弁護士事務所などは資産を保有する銀行、証券会社等を通じお客様ご自身で選定していただきます。
  • 当サービスは、英語が得意ではない方のため、現地事務弁護士事務所の指示に基づき、Probateに必要な日本側の事務サポートに限られており、法的な助言、資産の運用、税金などに関する言及は一切行いません。あらかじめご了承ください。
  • 当サービスは、国内外の各種法令に抵触しない範囲でのみ提供されます。
プロベートにかかる費用の総額

プロベートを行うにあたり一つの問題点として、かかる費用の総額が事前に判明しづらいという点が挙げられます。現地弁護士費用、公証人費用、各種税金や手数料などが事案により様々であるためです。 相続財産の種類、遺言の有無などにもよります。弊所では、過去の事例を基にお客様のご状況と照らし合わせ、想定し得る費用の目安をあらかじめご提示の上、ご承認をいただいてから業務に着手するよう心掛けております。 弊所のサポートは、一部お客様ご本人でなければならないものを除き、各種必要書類の作成、翻訳、認証、海外とのコレポン代行等、プロベートに必要な日本側の作業の中で、代行可能なもののほとんどが 網羅されております。また、翻訳対象の書類の枚数、現地弁護士や金融機関とのメールや書面によるコレポンの回数に制限もございませんので安心してご利用いただけるものと考えます。

プロベートに必要な費用と期間の目安

ニュージーランドにある相続財産が銀行口座1件で、相続人1〜2名、日本、ニュージーランド双方で二次相続が発生していない、といった最もシンプルな事例であっても総額で100万円を下回る可能性はあまりございません。 プロベート費用の大半を占めるのがニュージーランドの弁護士及び会計士の報酬となり、こちらが高額になることが多いためです。また、作業開始からニュージーランドの資産が相続人の日本の銀行口座に入金されるまで、 およそ1年から1年半というのが平均的な期間となっております。 相続財産の内容、遺言の有無、遺産分割協議書の有無、被相続人の戸籍の変遷、その他諸々の事情により費用とかかる期間は異なってきますが、費やす時間と労力も加味しますと、 上記の様な最も簡易な事例の場合で相続財産150万円あたりが損益分岐点になる言われております。 一方で相続財産が100万円を下回る場合は、費用倒れとなる可能性が高いです。 もっとも、日本側の作業は弊所が、ニュージーランド側の作業は現地執行者が専ら行いますので、残る財産が例え数十万円の場合でもやる価値はあるとも言えます。弊所まで一度ご相談いただくことをおすすめいたします。 また、相続財産が海外ファンドである場合などは、通常ですと最低投資金額が数百万円からとなっているケースが大半なので、かかる費用を考慮してもプロベートの手続きを行うべきであると考えられます。

まずはご相談ください

被相続人の口座のある海外の銀行、証券会社、弁護士事務所などから、ProbateやExecutorなどといった文言がございましたら、まずは弊所までご相談ください。 お問合わせフォームメール、またはお電話でのご相談を承ります。 正式にご依頼をいただき業務に着手するまでの間は、費用は一切発生いたしません。お手元にございます海外からの英文メール、文書、ご自身で収集・作成された書類など、差し支えない範囲でご提示いただきますとより円滑なご案内が可能となります。